与信をマナブ!営業を成功に導く基礎知識
第4回企業情報の見方
こんにちは、中小企業診断士の杉山岳文です。今回は与信情報、企業情報の見方、チェクポイントについて紹介します。
前回、与信評価に必要な情報として「企業概要データ」を紹介しました。信用調査会社が調査した信用調書のポイントがまとめられている与信としては標準的な情報です。企業概要データ(企業プロフィールに加え、与信評価点が掲載されているもの)は帝国データバンク、東京商工リサーチ、東京経済、信用交換所などの調査会社が提供しています。G-Search ならばこれらの企業概要データを横断検索できます。ある調査会社には非登録の企業がことなる調査会社では収録されているケースもあるので便利です。
企業情報の見方ですが、企業概要データが収録されている会社は基本的に調査会社が登記簿謄本(登記事項証明書)を確認しているので、「調査時点では企業として存在している」と判断することができます。会社・法人は設立登記により法人格を得ることができます。よって、実際は国内には存在しない会社との取引を防止することが可能です。
次に企業概要データの見方について紹介します。
基本情報をおさえる
まず基本情報として当該会社が与信先と同じか確認します。名刺に書かれている会社名・住所は略称であったり支部・支店住所であったりします。商号と本社(本店)住所・代表者を確認してください。商号は大手企業の名前を部分的に使っているケースが存在します。本当に関連会社(子会社・グループ会社)かどうかは商号で判断せず、株主構成を確認してください。
次に、企業概要データの調査日時を確認しましょう。そのレポートがいつ時点のものかを与信情報として把握します。調査が数年前のものだったりすると、直近の経営状況が反映されていない点に注意しましょう。
会社の基本情報、会社規模(売上規模・従業員規模)などを確認します。創業と設立が記載されていますが、創業は企業が自社の商歴をうたうものであり、設立は会社登記を行った年です。例えば牛丼の吉野家ホールディングスでは、創業が明治32年、設立は昭和33年となっています。従業員数はその企業が雇用している人員で、アルバイト・パートなどの人員を除外しています。
業績情報で会社の経営トレンドを把握
業績推移は、売上・利益が上昇トレンドなのか(成長しているのか)、下降気味なのか、「経営傾向」を確認します。そして利益(当期純利益)の額・規模・割合から企業の収益性、ビジネス状況を知ることができます。損失が継続している企業、大きな損失をあげている期があるケースは要注意です。また利益割合(利益率)は企業が提供するサービスの強さを示しています。また、多くの調査会社では「業界内売上高順位」を収録しているので参考にしましょう。
会社の経営基盤を見極める
経営基盤として、取引先(仕入先・販売先・取引金融機関)、大株主はチェックしましょう。取引先は取引額の大きいものから記載しているのが通例なので、大手企業と安定取引を行っているか、などは経営の継続性の判断基準になるでしょう。また、役員が代表者と姓が同一であったり、役員の姓が同じものが多いと同族企業と推測することができます。営業的にはアプローチ方法の検討材料、会社規模によっては経営の硬直性の判断情報となることがあります。
評点の見方
最後に「評点」について。企業の主に与信観点での経営力を100点満点で評価しています。あくまで調査時点の与信観点(支払い能力など)に比重が置かれているので、技術力や将来性といった評価ではありません。評点は信用調査が独自に付与しているものであり、各社の基準は異なります。
評点は多くの調査会社で会社の規模、安定性、業績、経営者能力を総合して算出しています。調査は基本的に、調査員が調査先会社に直接訪問し、ヒアリングを行い、商業登記・不動産登記・金融機関照会などを総合して経営状況を評価します。なので、調査先企業が調査を拒否すると側面調査だけの調査となり、評点は保守的になる傾向があります。
おそらく多くの業績が安定している中小企業は50点台になると思います。学校のテストなどで100点満点中、50点はあまりよくない点数と思いがちですが、日本の大企業のトヨタ自動車でも大手調査会社の評価では80点台です。50点未満の評点は英字記号で表示されるケースもあります。50点未満の評価基準は各社でことなりますので、G-Searchサポートデスクで確認してみてください。
取引先の与信調査に欠かせない、企業情報・与信情報サービスの詳細は以下からご覧いただけます。