調査コラム
2025年大阪万博の会場、夢洲はオリンピック開催候補地だった?浮き沈みする人工島の歴史を新聞・雑誌記事の掲載件数で追う
2018年12月7日掲載
2025年万国博覧会(万博)の開催地が大阪に決定した。
会場となる大阪市此花区の夢洲(ゆめしま)は、大阪北港の一画を占める大阪湾に浮かぶ人工島だ。コンテナ埠頭とメガソーラー発電所があるくらいで、全体的には広大な空き地が広がっており、埋め立ても完成していない。その夢洲が、大阪オリンピックの開催候補地(選手村予定地)だったことはご存知だろうか。
G-Search編集部では、オリンピックから万博へと活用の場を変えた夢洲が、どのように新聞や雑誌記事に取り上げられていたのかを調査してみた。
夢洲の新聞・雑誌への掲載件数を月別に調査
1991年に初登場、1997年の五輪候補地として記事が増加
「夢洲」がはじめて記事に掲載されたのは1991年。島の名前が公募により決まった記事だった。夢洲の記事が増え始めたのは1997年。
2008年に開催されるオリンピックの立候補都市として日本オリンピック委員会(JOC)総会での決選投票により、横浜市を破って大阪市が決定した年である。海のオリンピックをテーマに、夢洲は選手村として活用される予定となった。
2001年のオリンピック誘致落選で記事は激減
1999年にポリ塩化ビフェニール(PCB)汚染土を埋め立て処分していた問題がもちあがり、さらに記事は増加。オリンピック招致とPCB汚染土問題、交通アクセス改善に向けた地下鉄北港テクノポート線の着工など、記事掲載数を伸ばしたが、2001年にオリンピック誘致に落選し、記事数は激減する。
2009年には地下鉄事業が休止「大阪の負の遺産」と言われるほどに
2009年に、海底トンネルが開通し一般の立ち入りも可能になるも、資金が足らずに地下鉄事業休止に。夢洲は「大阪の負の遺産」と言われるほどになってしまう。釣り場として人気で、釣りの記事での掲載が見られる。
2016年以降、カジノ誘致や万博誘致で記事数が飛躍
東日本大震災で発生した岩手県のがれきの焼却灰を夢洲に埋め立てることになり、2012年掲載数は増加。その後は、カジノを中心とした統合型リゾート(IR)を誘致する案が浮上。さらに2025年万博の候補地として立候補、と2016年以降は記事数が躍進。2018年も伸び続けている。大阪市の吉村洋文市長は「万博、IRが来れば文字通り夢洲は『夢の島』になる」と期待する。
紆余曲折を経て、夢洲は今度どうなっていくのだろうか。
夢洲の歴史をデータベースからご紹介
- 舞洲・夢洲・咲洲と決定 大阪港3地区の愛称(朝日新聞 1991年4月16日)
- 2008年夏季五輪、対照的な開催計画案--大阪市/横浜市(毎日新聞 1997年4月7日)
- なにわの夢や、大きく一歩 2008年五輪国内候補に大阪(朝日新聞 1997年8月14日)
- 夢洲のPCB汚染土 調査1回で〈安全宣言〉 大阪市、埋め立て優先(読売新聞 1999年8月26日)
- 2008年五輪大阪落選 官主導に終始、見通し甘く 再立候補、民意の確認必要(読売新聞 2001年7月14日)
- 近畿整備局/夢咲トンネル(大阪市此花区~住之江区)が開通/臨海部のアクセス向上(日刊建設工業新聞 2009年8月4日)
- 北港テクノポート線:大阪湾岸の地下鉄、埋め立て進まず事業休止(毎日新聞 2009年11月25日)
- 大阪市 震災がれき 理解求める 初の説明会 住民、風評被害を懸念(読売新聞 2012年6月28日)
- 大阪人が最近「東京批判」をしなくなった理由/これからの日本は「遊び」が成長分野になる(東洋経済オンライン 2016年12月30日)
- 万博 生まれ変わる島 大阪・夢洲 整備済み まだ4割 草と沼の予定地(読売新聞 2018年11月29日)
執筆:G-Search編集部
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