調査コラム
新型コロナで注目されるテレワークの拡大状況を記事データから調査する
2020年4月13日掲載
新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)が猛威を振るう中、感染防止策の一環として在宅勤務など「テレワーク」を今回初めて経験されている方も多いのではないでしょうか。
「テレワーク」とは、「tele = 離れた所」と「work = 働く」をあわせた造語で、ICT(情報通信技術)を利用し、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のことです。ワークライフバランスの実現 、人口減少時代における労働力人口の確保、地域の活性化などへも寄与する、働き方改革の切り札として、昨今注目されています。
今回は、企業での導入が拡大する「テレワーク」について、注目を集めたターニングポイントをG-Searchデータベースサービスを使って調査しました。
2006年以降の「テレワーク」年別件数を調査
テレワーク人口倍増アクションプランが策定され、「テレワーク」の実証実験・利用が広がる
2006年より2007年にかけて、掲載件数が増加しています。背景としては、2006年の安倍首相(当時)が所信表明演説の中で、テレワーク人口の倍増について述べられたことと、2007年に内閣府より「テレワーク人口倍増アクションプラン」が策定されたことがあるようです。「テレワーク」は大きく注目を集め、試行・実施に関する記事が増加しました。実際に、国交省などでは、「テレワーク」の普及のため横浜にセンター開設し、総務省でも沖縄など5カ所で実証実験をしています。
2015年になると、大都市でしていた仕事を、インターネット環境を利用して地方に提供する、地方版「テレワーク」に自治体や企業が力を入れ始めました。また、猛暑や大雪で通勤が困難な場合に、「テレワーク」を利用して通常通りに仕事ができるということで、より身近な働き方に近づいてきた記事が目立つようになりました。
また、2017年には、2020年東京オリンピックの開会式にあたる7月24日を「テレワーク・デイ」と位置づけ、官民が連携して「テレワーク」を積極的に推進しています。
次に、東京オリンピックが間近に迫る2019年からの、月別の記事掲載数を調べてみました。
2019年1月からの「テレワーク」月別件数を調査
2020年東京オリンピックに向けた「テレワーク・ディ」を展開
月別グラフは、2019年6月~8月に掲載件数増の山があり、7月にピークを迎えています。2019年は、「テレワーク・デイズ2019」として2018年よりも開催期間を延長して、「テレワーク」の一斉実施を呼びかけました。2018年の時よりも掲載数も増加しており、更に盛り上がりを見せました。
新型コロナ対策で緊急導入する企業が増加
2020年2月になると、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、大手企業を中心に「テレワーク」を実施する企業が急速に広がりました。政府も、在宅勤務を含む「テレワーク」実施を求める異例の呼び掛けをしています。これまで、中小企業では導入が遅れていましたが、厚生労働省は、新型コロナ対策を目的に「テレワーク」を新たに導入したり、従業員向けの特別休暇を整備したりする中小企業への助成金の申請の受け付けを開始しました。
2020年東京オリンピックは、延期になりましたが、新型コロナ対策で実際に長期期間で「テレワーク」を体験した人が増えたことで、今後は、より多面的な働き方改革が広がっていくのではないでしょうか。
テレワーク関連の注目記事をデータベースからご紹介
- 在宅勤務者倍増へ、政府が行動計画 2007.05.30 東京朝刊 4頁 政治 (全228字) 朝日新聞
- 国交省など、テレワーク普及へ横浜にセンター開設 2007.10.10 日刊工業新聞 11頁 (全460字)
- 総務省、沖縄など5カ所で先進的テレワークの実証実験 2007.10.30 日刊工業新聞 11頁 (全678字)
- ◎企業と自治体がテレワーク推進=都心の仕事、田舎で請け負い 2015.10.18 時事通信 (全843字)
- テレワーク 大雪に負けず*足止め 首都圏のIT社員*ネット活用 海外会議に参加 2016.01.23 北海道新聞朝刊地方 29頁 北B (全514字)
- 20年東京五輪・パラリンピック:「テレワーク」普及を推進 政府や都など、イベント次々 体験セミナーや窓口開設 2019.07.27 地方版/東京 22頁 写図有 (全714字) 毎日新聞
- テレワーク導入広がる 五輪に向け試行 地場74社・団体参加 IT知識や人手 中小の遅れ課題 中国地方 2019.08.28 朝刊 中国経済 (全1,162字) 中国新聞
- テレワーク導入 対応割れる/小売りや運送困惑 IT関連は積極的 新型コロナウイルスの感染拡大防止に向け、政府が… 2020.02.22 河北新報記事情報 2頁 共同通信 (全1,257字)
- 厚労省、テレワーク助成を開始 中小企業を後押し 2020.03.09 共同通信 科学・環境・医療・健康 (全323字)
執筆:G-Search編集部
競合調査や市場調査のデスクリサーチに
G-Searchデータベースサービスを活用
競合会社の活動や業界の動向などマーケティングに関わる情報は、新聞記事を使ってリサーチすることができます。専門分野・業界の企業活動や開発トレインドに特化したニュースは入手が難しいものですが、専門紙、業界紙、ビジネス雑誌の情報が収録された新聞・雑誌記事データベースを使うことで、競合他社が取組む開発や営業活動の状況や、自社の重点市場・業界の変遷などをチェックすることができます。
また、専門紙・業界紙の特集記事や連載記事、各業界のキーパーソンへのインタビューやコメントを読むことで、広く業界の動向を知ることもできます。新製品開発や新規市場の調査に関わるデスクリサーチや、効率的な情報収集に新聞・雑誌記事データベースを活用ください。