AIが個人の信用力を数値化する信用スコアの急成長を記事で調査する

「信用スコア」というキーワードが初めて紙面に登場したのは2000年。 中小企業・ベンチャー企業向け融資に対する審査の精度向上、迅速化をねらって、東京都民銀行など11行が、各行の取引先中小企業の財務データを提供。そのデータを共有する「日本リスク・データ・バンク」の共同設立合意についての、金融専門紙「ニッキン」の記事でした。

その後は、1年に数件程度掲載されるくらいでしたが、2017年にソフトバンクとみずほ銀行が共同出資した「Jスコア」が個人情報を基に信用力を点数化して融資する「スコア・レンディング（融資）」を日本で初めて本格展開すると発表し、記事が増えていきます。 2018年には110件と記事数が大きく跳ね上がります。そこで、2018年以降は、月ごとの記事掲載数の動きを調べました。

2018年で最も記事が多かったのは10月。 ヤフーが10月10日に自社サービスのIDを基盤に、インターネットでの購買行動やニュースの閲覧や検索の履歴などのIDに紐づくさまざまなビッグデータを分析し、信用情報を数値化する「信用スコア」事業に参入することを発表しました。 1週間後の同月17日には、NTTドコモが携帯電話料金の支払い履歴などを基に算出した「信用スコア」を金融機関に提供することを発表。融資の信用調査に使用され、スコアによっては優遇金利が設定される仕組みです。巨大企業2社の続けての発表に、10月は前月比10倍の記事件数となり、注目を集めました。

2018年12月や2019年1月には、信用スコア事業に関する特集記事など、雑誌や海外メディアでの掲載も目立ちました。キャッシュレスの普及に関する記事でキャッシュレスの行きつく先として信用スコアが取り上げられたり、情報取得の在り方など問題視されたり、これから進むであろう信用スコアが浸透した社会への警鐘を鳴らす記事もありました。

2019年6月は、LINEが信用スコア事業「ラインスコア」を開始したことで記事数が増加します。「ラインスコア」は、LINEの金融サービスやコンテンツ利用の傾向といった個人情報や行動データを分析し利用者を採点。点数に応じて、米民泊大手エアビーアンドビーやディー・エヌ・エー（ＤｅＮＡ）など、LINEと連携する企業から割引などの特典を受けられるとして話題を呼んでいます。

個人の信用力が点数でわかることで、与信審査の簡略化や特典付与の判別になるなど、メリットが話題になっている一方で、スコアの基になるデータの取得方法や用途など、不明な点や不安に感じる点が多いともいわれる信用スコア。どのように社会の中で拡大していくのか、今後も目が離すことができません。