調査コラム
電気自動車用の電池として本命視されている全固体電池は実用化するか?
2021年11月4日掲載
記載内容は執筆時点の情報に基づきます。

全固体電池とは?
全固体電池とは、電流を発生させるためにこれまで液体だった「電解質」を固体にした電池のことです。
従来の電池は電解質が液体のため、電解質の蒸発、分解、液漏れといった問題がありました。このような問題を解消してくれる次世代電池として、全固体電池が注目されています。
近年は電気自動車(EV)の普及とともに全固体電池の安全性が注目され、自動車メーカーや電機メーカーの間で研究開発が盛んに行われています。
2016年から新聞記事が増加
2016年から2018年にかけて急伸長

電気自動車での全個体電池利用について、注目度を調べました。
G-Searchデータベースサービスの新聞・雑誌記事横断検索で、「全固体電池」と「電気自動車」の両方の文字列を含む記事を検索すると、2016年から急激に件数が伸びていることがわかりました。
2018年6月に記事数が増加

ガソリン車から電気自動車へシフトしようと世界中で開発競争が激化しているなか、6月18日の電気新聞と6月20日の日刊自動車新聞に新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が、電気自動車の次世代バッテリーについて国内主要メーカーと連携して技術開発を進めると発表した記事を掲載しています。
研究開発は材料メーカーなどが立ち上げた「技術研究組合リチウムイオン電池材料評価研究センター(LIBTEC)」に委託し、そのLIBTECに新たにトヨタ自動車・日産自動車・ホンダも参画。産学官で「オールジャパン」の研究開発体制を築いていくという内容の記事が出ています。
掲載された新聞のジャンル

工業や自動車、経済新聞に登場
媒体で見てみると、工業、電気、自動車などの業界新聞に加え、日本証券新聞やNNAアジア経済情報でも取り上げられています。経済成長要因としても関心の高いテーマであることが伺えます。
競争の段階を専門紙の記事で確認する
2018年と2021年の「日刊工業新聞」「電気新聞」「日刊自動車新聞」を見る
新聞掲載内容をさらに掘り下げ、最近の記事見出しを見てみました。
2018年は世界の自動車メーカーが開発競争を行っている段階で、2021年の記事ではバッテリー争奪戦や各社の目標に関する記事が見られます。
- 自動車メーカー各社、「全固体電池」開発急ピッチ 激化する競争(2021.05.18 日刊自動車新聞 [全1,070字])
- EV用全固体電池、産学官連携で研究推進/NEDOなど、早期実用化目指す(2018.06.18 電気新聞 4頁 [全672字])
- NEDO トヨタ、パナソニックなど産官学のオールジャパンでEV向け全固体電池を開発(2018.06.20 日刊自動車新聞 [全738字])
- 日産、50年に「カーボンニュートラル」実現 30年代早期に全車電動化(2021.01.28 日刊工業新聞 [全443字])
- ホンダ、2040年めどに世界販売全車をEVとFCVに ゼロエミッション専業メーカーへ(2021.04.24 日刊自動車新聞 [全865字])
- 想定以上のEVシフトでバッテリー争奪戦に翻弄される自動車メーカー、安定調達と低コスト化が電動車時代を生き残るカギ(2021.07.19 日刊自動車新聞 [全3,134字])
- トヨタの電池事業方針、2030年までに1兆5000億円投資 安定供給体制整備へ(2021.09.08 日刊自動車新聞 [全783字])
- トヨタ、全固体電池はHVで先行 2020年代前半に実用化 THSIIの強み最大限に生かす(2021.09.09 日刊自動車新聞 [全946字])
気になるキーワードから業界動向を掘り下げる
今回は電気自動車と全個体電池について動向を追いかけました。
気になるキーワードや調べたいテーマがある方は、ぜひ一度G-Searchデータベースサービスの新聞・雑誌記事横断検索で調べてみてください。
一般的なウェブ検索では見つけられない、業界動向を探ることができます。
執筆:G-Search編集部
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また、専門紙・業界紙の特集記事や連載記事、各業界のキーパーソンへのインタビューやコメントを読むことで、広く業界の動向を知ることもできます。新製品開発や新規市場の調査に関わるデスクリサーチや、効率的な情報収集に新聞・雑誌記事データベースを活用ください。


